「演歌の牙城」として知られた「レコードの鈴屋」(札幌市中央区南二西五)が十一月末に閉店した。貴重な演歌専門店として大物歌手にも一目置かれる存在だっただけに、ファンやメーカーからは再開を期待する声が上がっている。
「鈴屋」は狸小路商店街に約五十平方メートルの店舗を構えていた。一九五二年に家電販売店として開店、主にレコードを中心に販売していた。
演歌専門店の形になったのは十年ほど前。五木ひろしさんら本人直筆のサイン入りポスターが壁一面に張られ、ポップスに押されがちな演歌の牙城となってきた。
中でも名物だったのは店頭歌唱。新人を中心に毎月五-八人が顔を見せ、山本譲二さん、角川博さん、神野美伽さんらも集まったファンの前で歌い上げた。
今年夏、高齢を理由に前社長の大西由雄さん(86)が退き、店長だった鎌田光法さん(33)が社長を引き継いだ。しかし鎌田さんも体調を崩したことなどから、十一月末に閉店を余儀なくされた。
演歌のプロモーションを担当するキングレコード札幌営業所の三浦雄一郎さん(35)は「『鈴屋』は、演歌歌手にとってお客さんと直接顔を合わせられる大切な場所だった」と話す。
歌手のキャンペーンにも影響が出るため事務所からは問い合わせが相次ぎ、演歌ファンも行き場を失っているという。「できることなら、早く再開してほしい。応援したい」と三浦さんは期待をかける。
鎌田さんは「休養をいただいて、また演歌に携わりたい」と年明け後の店舗再開へ意欲を見せている。
(北海道新聞より引用)
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